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2007-11-25(日)
宿の人に駅まで送って頂き、その途中で向かう先の丸池湧水のことを聞いた。町の名前が湧水町というだけあって、湧き水がすべての上水道をまかなっているから、水道代は無料で流しっぱなし。違う町に住む息子が、米を炊く水だけはこれでないと…定期的に汲みに来るという。 周りはきれいに公園化されており、小さな売店が1軒だけある。観光バスが来るまでは誰もいない。ちょうど昇ってきた太陽の光がもたらすぬくもりを感じながら、青く冷たい水を見ていた。もちろん飲める場所もあって、おいしい水をごくごく流し込んだ。さすが名水100選の水。 再び電車に乗り、霧島神宮を目指す。途中、明治36年開業で今年104周年という嘉例川駅で、電車は5分の停車時間。乗客がカメラを手に外へ出る。なかなか趣深い駅舎ではあるけれど、5分じゃちょろっと見るぐらいしかできん。 霧島神宮駅から神宮まではバスで行けるのだけど、時刻表を見たら1時間後だった。タクシーで行こうかと思うも値段が…プルちゃんが機転を利かして同じ電車で着いた母娘に同乗しないかと誘う。4人が乗ったタクシーは山をグングン昇り、やがて現れた巨大な鳥居の中へ吸い込まれていく。 神宮というと広い敷地に大きな社殿を想像するが、ここは思ったほど大きくない。鮮やかな朱の柱と極彩色に塗られた木彫。そして守るように獅子と象が邪悪なものを威嚇する様は、他の神社では見たことがない。このあたりは、日光の東照宮にちと似ている雰囲気か。 神宮をあらかた見た後、2人でタクシーに乗り10分ほど来た道を下っていく。向かった先は老人ホームで、ここにプルちゃんのお父さんの母親が入所しているのだ。ちょうどおやつの時間だったお婆ちゃんは、御年103歳。中で少し話した後、職員の方が車椅子を外に出してくれた。あたたかい日差しの中で、彼女とお婆ちゃんが時の空白を埋めるかのように触れ合う。 彼女が手や顔をやさしくマッサージしてあげると、とても気持ちよさそうな顔を見せてくれた。1世紀を越える人生が刻まれた顔の皺が、笑顔の中で揺れ動く。自分には想像だにできない、激動の時代を越えて生きてきた証。なぜか、またもや熱いものがこみあげてきて、つい2人から離れてその姿をカメラにおさめていた。 バスに乗ってさらに山道を上がり、天孫光臨伝説の残る地の夕焼けに驚嘆しながら終点まで。そこはホテルなのだけど今夜の宿はそこでなく、さらに奥へ行った谷にある新燃荘という旅館。迎えに来てくれた宿の方のクルマに乗り、きつめのワインディングをやや攻め気味に進む。以前泊まったお客さんで会社の社長だという人が、携帯電話が通じないから怒って帰った…というぐらいの場所なんですよ…車中の話に笑いながら宿に到着。 昭和の香りいっぱいの宿は、なんとも懐かしい佇まい。小学生の頃泊まった山の宿は、みんなこんな感じだった…とひとりデジャブに浸る。ぐっと冷え込んだ中で入った温泉は最高のひとこと。“日本の秘湯・西の横綱”というだけあって、強力な源泉かけ流しのお湯でややグロッキー。 旅館の夕食は鯉のあらい、数時間煮込んだ豚骨、マスの塩焼きなど、次々に皿が出てきて大満腹。静寂の中で川の音だけが聞こえていた。 Flickr
by walstib
| 2007-12-10 13:37
| Trip
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